久高島観光(1)
久高島。
那覇から近く、それなりに有名な島でもあるはずなのに、なかなか足が向かなかった久高島。
最近ようやく行くことができた。
行くきっかけは単純なものだった。
その日はいつも通り午前7時に目が覚めたが、仕事も休みで他にすることもない。外は梅雨の中休みにありがちな、強烈な青い空を広げる晴天で、「こんな日に近場で時間をつぶすのはもったいない」ということで、何をしようか考えているときに思い立ったのが、「そういや久高島にはまだ行ってないな」ということだった。
沖縄離島情報を見て船の時間を見ると、午前9時が出航らしい。私はデジカメなどの装備を整えて、バイクに跨り安座真港を目指した。
安座真港は本島南部の東海岸にある。港の横は「あざまサンサン・ビーチ」だ。那覇からバイクで40分ほど。車でも一時間弱で着くだろう。駐車場もあるので車で来ても問題はないが、すれほど大きな駐車場ではないので、泊められないかもしれない。こればっかりは、運を天に任せるしかない。
港について乗船切符を買う。船が二種類あり、一つは「フェリーくだか」という。これは久高島まで片道20分かかるが、運賃は片道650円だ。もう一隻は「ニューくだか」で、こちらは高速船ということもあり片道15分。運賃は740円だ。運賃が違うということは、ここで往復運賃を購入すると、帰りも同じ船に乗らなければならないことになる。出航時間によって乗る船が変わるので、帰りたくてもその船の出港時間まで待たなければならないわけだが、その旨料金所のおじさんに確認すると、「差額を払えば高い方でも乗れるよ」ということだった。つまり、フェリーくだかで久高島まで行って、帰りは「ニューくだか」にする場合、80円(片道料金ではなく、往復料金の差額)を別途払えば乗れるらしい。往復料金は片道に比べて割引されているので、こちらを買ったほうが特だ。私はとりあえず「フェリーくだか」の往復運賃を購入した。
出航時刻まで暇があるので、待合所を見学する。待合室には各種お土産の他、久高島に関する手書きのパンフレット(もちろん白黒)があり、島の全景(手書き)と観光スポット。裏面には集落の案内図(手書き)が書かれている。また壁には数項目の注意事項が書かれている。その中で一番目を引いたのは、「島からは石ころ一つすら持ってでないように」というものだった。私はそれらを記憶し、待合室を出て海に面する壁際に置かれたベンチに座ると、出航時間までパンフレットを熟読した。
港に入ってきた「フェリーくだか」は、2階建てだった。1階部分は駐車スペースで、1階部分が客室だ。
しかし、客室といっても部屋があるわけではなく、屋根のついたオープンテラスのような感覚だ。
その日が土曜日だったこともあるのか、私以外にも複数の乗客がおり、2階はあっというまに人で埋まった。そのほとんどが観光客のようだった。
正直、私はその大人数に驚いた。有名とはいえ小さな島なのに、これだけの人が一度に押し寄せるとは。粟国に行った時も、観光客はこれほど多くはなかった。まぁ、粟国の場合は10年以上も前の話だが。
「オープンテラス」の手すりに頬杖をつきながら白波を眺めつつ、感慨にふけろうとした頃に久高島到着。20分などあっという間だ。
港(徳仁港)に降り立って、小島特有の晴れやか静けさを感じながら、集落に続く坂を上っていく。坂の頂上には久高島の船待合所があった。
私はパンフレットに乗っていたレンタル・サイクル屋を目指した。坂を上りきって待合所を右手に見ながら、島の奥へ続く一本の道を歩いていく。どうやらこの道が久高島のメインストリートらしい。
ふと後ろを振り向くと、船でいっしょだった乗客の多くも同じ方向に歩いてくる。みな目指す先は同じようだ。
レンタル・サイクル屋は「たまき」という。メインストリートの左手にある普通の民家だが、看板が出ているのですぐわかる。それに、敷地内を覗けば、民家では乗り切れないであろう大量の自転車が所狭しと並べられているので一目瞭然だ。
小さな縁側におばちゃんが一人座っており、彼女に金を支払って適当な自転車をチョイスする。といってもすべてママチャリで、確か一日レンタルが千円だった。一時間だと300円だ。
自転車はひさしぶりだ。沖縄に移住してから、めったなことでは自転車に乗る機会などない。そもそも自転車など持ってない。
しかし、この島の観光には内燃機関の移動手段など似合わないような気がしたし、必要もないように思われた。
サイクリングの前に、飲み物を仕入れることにする。というのも島には集落以外に水道がなく、自動販売機もないらしいのだ。海水を飲むわけにもいかないので、500mlのお茶を、偶然見つけた商店で買う。
店を出て冷たく冷えたお茶をいっぱい飲むと、ペットボトルをデイバッグに入れて再び自転車に跨った。
私は力強くペダルをこいで、島の北端をめざす。
パート2へ続く