久高島観光(2)
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集落を抜けるとコンクリートで作られた一本道が、島を貫くようにまっすぐ伸びていた。小さな島という先入観が一層その光景に感動させた。勢いあまって地平線でも見えてきそうな、それはまっすぐな道だった。
私はその上を首が落ち着く暇もないほど辺りを見回しながらペダルをこいだ。特に風景が変わるわけではない。辺り一面さとうきびだし、それ以外は空の青しか色がない。しかし、島がかもし出す静けさが、どこにでもありそうな風景に個性を与える。そして、ようやく「あぁ、久高島に来たんだ」という実感を得る。
コンクリートの道をはずれ、クボー御嶽(うたき)を路上から覗き込み(男子禁制の上、観光客は御嶽に入れないので)、途中から西海岸沿いにある細い道に入る。「ロマンスロード」というらしい。海沿いを自転車でチンタラ走るのは、この上なく心地よい。これぞ沖縄小島の醍醐味だ。
人工的な四角形の溜め池を通り抜け、未舗装の道を行くと、島の北端であるカベール岬に着く。
琉球の祖神であるアマキミヨが、この場所に降り立ったという伝説がある。小さな浜で、私が行った時は晴れているにもかかわらず小雨が落ちてきた。
カベール岬で30分ほど途方に暮れ、その後に東海岸を目指した。ウパーマと呼ばれる砂浜がある。そして、ここでもまたその長大さに度肝を抜かれる。
実際は沖縄本島ならばどこにでもありそうな細長い砂浜なのだが、久高島にもこれほど立派な浜があったのかと思うと、やはりこの島は一味違うと唸ってしまう。泳いでいる人はいなかったが、海草をとっているおばさんと、家族連れの観光客が一組いた。
私はその足で伊敷浜にも行ってみる。ここはかの有名なニライカナイの対岸にあるとされており、数々の伝説がある。
ここまでで2時間ほど費やしている。ゆっくりペダルをこいだ上に寄り道しまくったのだが、それでもまだ午前中だった。
私は一度集落に戻り、腹ごしらえすることにした。
集落に戻って船待合所の隣にある食堂に入る。久高島振興会が運営する「食事処とくじん」という、木造の食堂だ。
集落内に食堂はくつかあるが、私は食べる場所にそれほどこだわりがなかったので、最初に見つけた店に入ることにした。
店のドアを開けると、そこには小さなスペースにショーケースがあり、久高島の商品(だったかな?)やらを売っている。
食堂本体はその奥にあり、まずはカウンターで商品を注文して、適当な席に座ると、お店の人が出来上がった食事を運んできてくれる。
この食堂、徳仁港に面した丘の上に経っており、敷地内の芝生からは太平洋とその向こうの沖縄本島を一望できる。
芝生にはプラスティック製のアウトドア用テーブルセットが置かれていて、ちょっとしたカフェテラスになっているが、私がそこで食事をするときは、すでにカフェテラスが満員状態だったので、仕方なく店内に座る。
注文したのは沖縄そばだ。座って五分もしないうちに来た。
私はテーブルに手書きの久高島パンフレットを広げ、午後の行動を思案しながら沖縄そばを食べた。
なんせ周囲8キロの小さな島で、しかもそのほとんどは手付かずの自然であり、集落以外の観光名所は午前中にほとんど回っていた。唯一回ってないのが集落内とその周辺だった。そうとくれば、午後の行動は決まったも同然だ。私は沖縄そばを食べつくし、冷たいお茶をいっぱい飲んで食堂を出ると、再び自転車に跨って集落に躍り出た。
集落にも観光スポットは点在している。ウドゥンミャー(久高殿)とよばれる、イザイホーの舞台になった祭場や、アマミキヨ拝所があり、久高島で一番古い家も残っている。集落自体も十分魅力的な町並みで、ある一角は石畳が敷かれ、細い道の両側は白い石垣で囲まれている。私はゆっくりとペダルをこぎながら、時々立ち止まってはそんな町並みを観察していった。
路地に入ると所々から、子供たちの笑い声やテレビの音が漏れてくる。それ以外には音がない。
集落周辺は一通り回り終え、すでに自転車は必要なくなっていた。私は集落の中を歩きたいと考え、自転車を戻すことにした。自転車借りて現在まで4時間が経過している。よく乗ったものだ。今は全く疲れを知らないのが不思議なくらいだ。明日は筋肉痛に違いない。
更にこの上まだ歩こうとしている自分に感心しつつ、レンタル・サイクル屋のおばちゃんに声をかけて、自転車を戻した。